漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
11.
消化管、肝胆膵の疾患
文献
大森健. 胃癌手術後の腸管運動機能低下に対する大建中湯の有用性に関する前向き無
作為化臨床研究. Progress in Medicine 2012; 32: 614-5. MOL, MOL-Lib
1. 目的
胃癌、胃全摘後の腸管運動機能低下に対する大建中湯の有効性と安全性の評価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (RCT)
3. セッティング
病院外科1施設
4. 参加者
胃癌のため胃全摘 (Roux-en Y法) 根治度A/Bを受けた患者100名 年齢44-80歳
5. 介入
Arm 1: 大建中湯 (メーカー不明) 7.5 g/日 3ヶ月間投与 51名
Arm 2: 微温湯 20 ml 3ヶ月間投与 49名
6. 主なアウトカム評価項目
術後合併症 (術後イレウス) の発症頻度、消化器症状QOL (GSRS) 、便通、腸管内ガス
7. 主な結果
脱落症例15名を除く85名で評価した。腸閉塞発症はArm 1で1名、Arm 2で3名で有
意差は無かった。術後1, 3ヶ月でArm 1ではArm 2よりも便秘が改善したがそれ以外
の消化器症状QOL (GSRS) は両群間で有意差は認められなかった。入院中の排便回数
はArm 1 (1.1±0.6回) はArm 2 (0.7±0.4回) に比べ有意に増加した (P<0.05) 。 便の性状
についてはArm 1でArm 2に比べ有意に軟であった。腸管ガスはArm 2に比べArm 1
で術後1週間、1ヶ月、3ヶ月いずれも有意に減少した。
8. 結論
大建中湯は、胃全摘術後患者における腸管運動の早期改善に寄与し、術後愁訴の軽減
に有効である。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
有害事象なし
11. Abstractorのコメント
本論文は、胃癌、胃全摘後の腸管運動機能低下に対する大建中湯の有効性と安全性を
評価したランダム化比較臨床試験である。大建中湯は術後の腸管運動機能低下の早期
改善に有効であることが示唆された。排便回数の増加など自覚症状のみでなく客観的
指標である大腸ガス領域面積の低下は大建中湯投与群において術後 1 週間で認められ
た。
12. Abstractor and date
岡部哲郎 2013.12.31